11 青色申告の主な特典
(1)青色申告特別控除
青色申告者の方で、事業所得または不動産所得を生ずべき事業に係る取引を「正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)」に従って記録している方は、一定の要件の下で、その年分のこれらの所得の計算上、青色申告特別控除として、最高65 万円を控除することができます。
事業的規模でない不動産の貸付など、上記以外の方については、青色申告特別控除として、最高10 万円を控除することができます。
[事業的規模とは]
不動産の貸付けが事業的規模かどうかについては、原則として社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているかどうかによって、実質的に判断します。
ただし、建物の貸付けについては、次のいずれかの基準に当てはまれば、原則として事業として行われているものとして取り扱われます。
①貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10 室以上であること。
②独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。
(2)青色事業専従者給与額の必要経費算入
ご商売をされている方は、配偶者や親族がその事業に従事されていることも多いと思います。青色申告者は、生計を一にする配偶者やその他の親族(15歳未満の人を除きます)で、もっぱらその事業に従事している人に給料を支払っている場合、その支払った金額を必要経費とすることができます。
ただし、その給与の金額は、次の条件に照らしてその労務の対価として相当の金額であることが必要となります。
①その労務に従事した期間、労務の性質およびその提供の程度。
②その事業に従事する他の使用人が支払いを受ける給与の状況、その事業と同種の事業でその規模が類似するものに従事する人が支払いを受ける給与の状況。
③その事業の種類、規模および収益の状況など。
この適用を受けようとする方は、青色申告の申請の手続きにあわせて、支払限度額等をあらかじめ「青色事業専従者給与に関する届出書」に記載して、税務署に提出することが必要です。
「青色事業専従者給与に関する届出書」は、税務署に用意してありますが、国税庁のホームページからもダウンロードできます。
(3)貸倒引当金
事業から生じた売掛金、貸付金などの貸金の貸倒れによる損失の見込額として、貸金の年末帳簿価額の5.5%(金融業者の場合は3.3%)以下の金額を貸倒引当金勘定へ繰り入れたときは、その金額を必要経費に算入することができます。
※貸倒引当金に繰り入れた金額は、その翌年分において貸倒引当金繰戻額として収入金額に加算します。
(4)純損失の繰越しおよび繰戻し
[純損失の繰越し]
青色申告者については、事業から生じた純損失の金額を、翌年以後3年間にわたって、順次各年分の所得金額から差し引くことができます。
[純損失の繰戻し]
また、前年も青色申告している方は、純損失の繰越しに代えて、その損失額を前年分の所得に繰戻して控除し、前年分の所得税額の還付を受けることもできます。
※純損失の繰戻しは、損失が生じた年分の確定申告書をその提出期限までに提出する必要があります。